意識の異常

意識の程度は、外界からの刺激の強弱と心理的状況によって変化する。知覚との関連が深く、聴覚や触覚の成立が不十分な場合には、視覚や味覚が成立していても意識の程度が悪くなることもある。

心理的な意識の異常の多くは、不快な興奮や恐怖に伴う情動の変化が原因だとされている。

意識の評価

一般に、意識の程度は刺激に対する注意力、理解力、見当識などによって判断される。

注意力

外界・内界からの刺激に対して、意識を向ける機能である。ある一定期間、特定のものごとに対して集中できなくなり注意が散漫となったり、逆に、ある特定のものだけに集中してしまうことなどによって、意識の異常を認める。

理解力

外界・内界の知覚や、複数の刺激の相互関係を理解できる機能である。刺激そのものへの理解ができず、それらの相互関係についても理解できない場合に、意識の異常が認められる。

見当識

時間や空間と自分との関係を判断する機能である。自分や他者のおかれている基本的な状況や、客観的な時間や空間との関係がわからなくなっている場合に意識の異常が認められる。

その他

その他にも、刺激に対する応答が鈍い、感情の動きがないなどの全体的な状態の観察によっても、意識の程度を知ることができる。また、脳波と意識障害の程度に関してある程度の相関が認められているため、脳波によって評価することもある。

意識異常の種類

意識の異常は、意識混濁と意識狭窄に分けられ、その両方が現れることもある。重度な意識異常として、せん妄やアメンチア、夢幻状態、酩酊状態がある。

意識混濁

意識の明度の障害である。意識の明るさが失われてくる状態で、脳代謝の低下によるものとされている。主な原因として、アルコールや薬物の中毒、脳の外傷や腫瘍などによる血流異常などがある。

睡眠も意識混濁と似ているが、睡眠は周期的な意識の変化で可逆的であることから、意識混濁には含まれない。

意識混濁は程度によって傾眠、昏迷、半昏睡、昏睡などに分けられる。

意識狭窄

意識の異常の主要病像のひとつであり、意識の広がりが狭くなっている状態である。特定の対象しか意識されなかったり、逆に特定の対象だけが意識されないこともある。

ヒステリーや催眠状態は心因性の意識狭窄と呼ばれる。心因性の場合には、強い情動体験によってそちらに注意が集中することで起きやすい。また、器質的な原因によることもある。

意識野が狭くなっており、軽度な意識混濁がある状態は朦朧(もうろう)状態と呼ばれる。見当識が明瞭な場合は比較的整然とした行動や判断がなされるため、周りの人間がその変化に気づかないこともあるが、本人はその間の記憶がない、または断続的であることが多い。

見当識が失われている場合には、てんかん性朦朧状態やヒステリー性朦朧状態などがある。徘徊や衝動行動、幻覚、不安、情緒不安定などの様相を示す。

朦朧とは別に、人工的に意識野を狭くすることは催眠と呼ばれる。催眠状態では、術者の指示や命令だけに意識が集中されているため、他のことが意識されない状態となる。催眠状態は、術者が意図しない日常生活の中でも起こりうる状態である。

せん妄

意識混濁に幻視や錯覚、精神運動興奮などが加わっている状態である。精神運動興奮とは、不安などの情動の変化によって生じる不自然な行動で、この精神運動興奮や見当識が失われていることによって気づかれることが多い。

アルコール依存症や脳卒中、認知症などの患者に多く見られるが、高熱を出したときに現れる熱せん妄や、夜間に症状が悪化する夜間せん妄などもある。

アメンチア

具体的には定義されていないが、意識混濁がせん妄より軽い、もしくは意識混濁を伴わない意識障害である。見当識は失われ、思考散乱や困惑状態となる。

脳の器質的異常による症状であると考えられている。

夢幻状態

現実と空想とが入り混じった状態で、幻視や錯覚を伴い、夢を見ているような状態である。強い情動の変化やアルコールなどの中毒、伝染病などに多く見られる。

酩酊状態

アルコールや薬物などによる一過性の興奮状態である。脳の器質性障害や極度の疲労状態でも見られる。見当識や自制心が失われ、注意力や判断力などの思考の低下や情緒不安定などの症状が現れる。

参考書籍
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