依存性

いじめや虐待、DVなどは治りにくく、繰り返されるということがよく言われるが、それは依存性を伴っていることが多い。

人の行動が繰り返されるとき、その行動が自分にとって何らかの報酬(メリット)があると感じているのである。報酬は得られるものだけを考えがちだが、現状の不快感から逃れる行動も一種の報酬となる。その報酬が比較的すぐに得られる場合に行動は強化されやすい。さらに、その報酬に快楽が伴う場合には依存性が高いと言える。

タバコを吸う人が禁煙に失敗しやすいのも、健康を保てるという目に見えない時間のかかる報酬よりも、今すぐスッキリできるという快楽を伴う報酬のほうが魅力的に見えるのである。

いじめや虐待、DVにも同じようなケースがあるが、報酬となるものは人によって様々である。いじめの場合、初めは些細なものだったにも関わらず、徐々にエスカレートしていくケースが多い。ちょっと驚かせてやろう、という出来心が快感を生み出し、同じような快感では満足できなくなりより大きな快感を求めるようになるので、行動が繰り返されるのである。

依存傾向が強い人の心理的特徴

依存傾向の強い人は主体性がないのが特徴のひとつであり、主体性とはものごとを自分の意志で判断し行動することである。

人は一度うまくいった方法を繰り返そうとするが、その方法で何度か失敗をすると、他の方法を探そうとする。しかし、依存傾向の強い人は自分の意志で判断しようとはしないので、同じ方法を繰り返してしまうのである。

会社を定年退職した人が時間を持て余し、何をしていいのかわからないということがよくあるが、これも依存傾向が強いといえる。仕事ではバリバリ働いて主体性を発揮しているように見えるが、会社の仕事というのはやることがある程度決められている。判断するのは上司であることが多いので、判断を必要とするケースはほとんど無いのである。

自己目的化

過食症の人は栄養が足りていないから食べるのではなく、食べること自体が目的化している。食べ過ぎてはいけないとわかっていても、食べることへの快感を抑えきれないのである。してはいけないという禁を破ることに快感を感じていることもある。

一般に、行動によって得られる結果を目的としていたにも関わらず、行動自体が目的となってしまうことは自己目的化と呼ばれる。これも一種の依存であると言える。自己目的化はその行動に他者との関わりがない場合に起きやすい。他者が介在する場合は、何らかの問題を予測してブレーキがかかるからである。

自己目的化した行動が度を超えると、他者から見ると一般的な常識を超えていたり、何のためにその行動を行っているのかわからないことがあるため異常性を感じやすい。もちろん、他者が理解できない行動すべてが自己目的化した行動というわけではない。

自己目的化する身近な例としてショッピングが挙げられる。欲しいからものを買うのではなく、買うという行為に快感を感じて、買うことが目的となるのである。これが度を超えると、浪費癖や買物依存症と呼ばれる。

似たようなものに窃盗癖がある。これも物が欲しいから盗むのではなく、盗むこと自体に快感を感じているので、その行動は繰り返されやすいのである。

自己目的化の原因

買物依存症や窃盗癖に限らず、自己目的化する原因の多くは日常的なストレスであると言われている。ストレスのはけ口として快感を伴う行為に依存してしまうのである。このような自己目的化した行動を禁止するだけでは、他のはけ口が必要となってしまうので根本的な解決にはならない。

何にストレスを感じるかは人によって様々であるが、それは考え方を少し変えるだけで解決することもある。

執着気質

慣れ親しんだものを大切にする傾向が強い人は執着気質と呼ばれ、うつ病の病前性格とも言われている。

物がない、物が買えないという体験によって執着に拍車がかかることもあるが、愛情不足という境遇が物への執着に変わることが多いという。これが病的なものへと発展すると、物が捨てられなくなりゴミ屋敷となることもある。

執着するのは物だけではなく人間関係も含まれる。これも度を超えればストーカーへと発展することもある。

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