記憶の発達

胎児の記憶

母親の胎内での記憶がある乳児は全体の3割であるという調査もあるほど、乳児の記憶はかなり早い段階から発達している。

キシレフスキーらは、母親の声と見知らぬ女性の声をテープに録音し胎児に聞かせたところ、母親の声を聞いた時には心拍数を変化させたが、見知らぬ女性の声ではそのような反応は見られなかった。また、生後1日目の新生児においても同様の結果が得られている。

つまり、胎児の段階で何らかの特徴を記憶できる能力をもっていることが示されている。

乳児の記憶

乳児の記憶能力を確かめる方法は「視覚認知の発達」で示した方法の他に、行動随伴性を調べる方法がある。具体的には特定の行動に対し報酬を与え、その行動が強化されるかどうか、さらにその行動の強化レベルを元に戻した後に再生可能な期間などを調べる。

ロビー・コリアーらの実験とその後の実験を合わせて考えると、生まれてから日が経つほど素早い学習を示すことや、学習したことの保持期間も長くなることがわかっている。具体的には、2ヶ月児では1日保持でき、3ヶ月児では7日、6ヶ月児では14日ほどである。また、外的手がかりを提示した場合、2ヶ月児では14日後、3ヶ月児では28日後でも再生可能であることが示されている。

幼児の記憶

幼児期になると言語によるコミュニケーションが可能になるため、記憶の内容を明らかにするのは比較的容易となる。

ブラウンとスコットらの実験では、3〜5歳児に対して、人や動物、物などの絵の再認課題を行ったところ、再認記憶においては成人と比べても大きな違いはないことがわかっている。

一方、数や文字の再生課題では、成人の短期記憶の容量である7±2個に到達するには10歳くらいまでかかる。これは、成長するにつれて短期記憶の容量が増加するからなのか、認知発達に伴う処理の効率化によって一度に扱える情報量が増えるからなのか、2つの考え方が提示されている。

カテゴリー化の発達

人間の認知資源には限りがあるので、ものごとを記憶する上でカテゴリー化は重要となる。

ボーンスタインやスレイターらの実験によると、3、4ヶ月児で色や図形をカテゴリー化しパターン認知していることを示している。また、エイマスらは1ヶ月児が音声をカテゴリー化していることを示しており、かなり早い段階でカテゴリー化の能力をもっていることがわかる。


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