カテゴリー化

人間の認知資源には限りがあり、カテゴリー化を行うことで、最小の認知的努力で最大の情報を得ようとする。カテゴリー化は下記のプロセスが一般的となっている。


古典的カテゴリー論

ある対象がどのカテゴリーに属するかどうかは、定義的特徴によって決まるとする考え方を古典的カテゴリー論、または定義的属性論と呼ぶ。この考え方は古代ギリシャの哲学者アリストテレスによって提唱されているもので、各カテゴリー間には明瞭な境界線が存在することを示している。

しかし、実際には定義的特徴によってどのカテゴリーに属するか決まらないものも多く、その後の研究によって、カテゴリー化の理論は徐々に形を変えていっている。

プロトタイプモデル

経験した多くの刺激から、典型性や類似性によって代表的事例(プロトタイプ)が形成され、そのプロトタイプを用いてカテゴリー化が行われるとする考え方を、プロトタイプモデル、またはプロトタイプ理論と呼ぶ。

ロッシュは、野菜や動物についての典型性や、ヴィトゲンシュタインによって提唱された家族的類似性を測定する実験を行っている。その結果、典型的な事例ほどカテゴリー化が速い、記憶されやすい、想起されやすいなどのことが明らかとなった。

ロッシュの実験以外にも、幾何学的図形やメロディなどの刺激を用いた実験でも、プロトタイプモデルを支持する結果が得られている。

事例モデル

新しい刺激が、経験した個別の事例についての記憶とどれだけ似ているかによって、カテゴリー化が行われるという考え方を事例モデルと呼ぶ。プロトタイプモデルの実験でも、個別の事例情報が保持されることが示されており、プロトタイプモデルだけが正しいとは言えないことがわかっている。

どちらのモデルが採用されるかは、その時の条件によるものと考えられており、記憶されている事例が少ない場合には事例モデルが採用され、事例が多い場合にはプロトタイプモデルが採用され、カテゴリー化が行われていると考えられている。


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