動きの認知

人間が対象の運動を知覚するための刺激条件として、静止した眼の網膜上で運動対象の像が移動する場合と、運動している対象を眼で追跡することで、対象以外の像が網膜上を移動する場合とが考えられる。しかし、このような刺激条件があれば、必ず運動を知覚するわけではなく、対象の運動が速すぎても遅すぎても知覚できない。具体的には、視角にして毎秒1〜2分以下、または毎秒35度以上になると、人間は運動を知覚することができないと言われている。

また、運動対象の性質や周囲の環境によって、運動対象の見かけの速さが変化することが知られている。その一つに、運動領域と運動対象の大きさをともに2倍にすると、見かけの速さは約2分の1になるというブラウン効果などがある。

人間の眼には、静止している対象が運動しているように見える現象もあり、その例として誘導運動、仮現運動、運動残効などがある。


誘導運動

誘導運動とは、風に流される雲の動きによって、月が動いているように見える、といった対象間で取り囲むもの、取り囲まれるものという関係が成立するとき、取り囲まれているものが動いて見える現象である。

仮現運動

仮現運動は、空間的に離れた2つの図形を一定の時間間隔をおいて提示すると、図形の運動が知覚される現象である。テレビなどの映像も静止画の集まりであることを考えるとわかりやすい。

運動残効

運動残効は、一方向へ動き続ける対象をしばらく見た後、静止している対象を見ると、静止している対象が、直前に見ていた運動対象と逆方向に動いて見える現象である。


認知心理学カテゴリー
知覚と記憶