物体の認知

視覚系はさまざまな奥行き手がかりから、入力された2次元データを3次元データへと変換し再構成を行っている。


基本形状による物体の内部表現

認知心理学者のマーは、すべての物体は長さや太さの異なるいくつかの円筒形状に分解できると考え、円筒形状が人間が認知している基本形状であるとした。また、ビーダーマンはジオンと呼ばれる24個の基本形状を考え、物体の内的表像を考えようとした。この理論は部品による認識理論とも呼ばれ、ある程度の特徴さえ認識できれば、基本形状の集合として認識できるとした。

視点依存と視点非依存アプローチ

3次元の物体は見る角度が異なると、網膜に投影される2次元像の形状は大きく異なるが、人間はそれを同一の物体であると認識することができる。この場合、視覚系ではどのような処理が行われているのか、2つの異なる考え方が提唱されている。

一つは視点非依存アプローチで、網膜から入力された2次元情報は一時的に2.5次元化され、その後観察者の視点に依存しない内部表現に変換される。

もう一つは視点依存アプローチで、入力された情報をそのまま記憶し、視点に依存した物体認知をしているという考え方である。物体認知では多くの研究で強い視点依存性を示すことが確認されているが、すべての視点からの情報を記憶するとなると、膨大な量になってしまうという問題点がある。

この2つの考え方はいずれもボトムアップ処理であるため、トップダウン処理での認知モデルの検討が期待されている。


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