ある反応をしたときに不快な刺激を与えることで反応を減少させる方法である。罰で用いられる嫌悪的な刺激は罰子、あるいは嫌子と呼ばれる。罰は正の罰とも呼ばれ、一般的には正の強化の逆の現象である。

罰に影響する要因

罰子の強度

強度の低い罰子は実験対象がそれに慣れてしまいあまり効果的ではない。また、罰子の強度を徐々に上げていく方法も、慣れがより強い強度の罰子へと般化するためこちらも効果的ではない。

望ましくない行動を除去するには、罰子は最初から最大の強度で与えるのが最も効果的である。

時間的関係

強化の場合と同様に、罰子は反応の直後に与えられるのが効果的である。反応と罰子の間の時間が長くなるほど、反応の減少率は小さくなる。

罰スケジュール

アズリンの実験では、餌強化のVI(変動時隔)3分スケジュールと罰のFI(固定時隔)1分スケジュールを同時に行ったとき、1分間隔の終わりに近づくにつれハトの反応率が減少することを見いだしている。これは単体のFI強化スケジュールの典型的なパターンの反対の現象である。

間欠強化スケジュールでは消去抵抗が大きいが、間欠的な罰においても反応をゼロにするのは難しいといえる。

動機づけと代替行動

アズリンらは、動機づけの強さと罰の有効性は逆相関の関係にあるとしている。これは強化子となる餌が得られる反応に対し罰を用いるとき、実験対象が空腹時の場合はあまり効果を示さず、満腹時の場合には反応のほとんどあるいは完全に停止させることを示している。

また、アズリンらは同じ強化子が得られる別の反応が存在する場合に、罰は効果的に働くことを示している。特定の行動をやめさせる場合には罰だけではなく、同様の強化子が得られる代替行動も同時に呈示するとより効果的に行動を減少させることができ、代替行動で得られる強化子によって動機づけも弱まるのである。

罰の使用に関する問題点

上記の罰スケジュールで見たように、反応しても罰子が与えられない条件が存在する場合には反応を完全にやめさせることはできない。反応をやめさせるには24時間監視するシステムが必要になってしまう。

罰は恐怖や不安、怒りなどの感情を誘発することがあるが、これらの感情は学習や認知、記憶などパフォーマンスを一時的あるいは継続的に低下させたり、全般的な行動を抑制させることもある(学習性無力感)。研究者らはこれらの問題に対し「罰を用いる場合には大きな注意が必要である」としながらも、「自然環境における罰を完全に排除することはできない」とも述べている。

負の罰

特定の反応をしたときに正の強化子が取り除かれるもので、省略とも呼ばれる。負の罰の中でも、ある時間反応を起こさなければ正の強化子が得られる方法はタイムアウト法と呼ばれる。正の罰と同様に、反応が起きた直後に負の罰が与えられるのが最も効果的である。

正の罰とは違い嫌悪刺激を用いないため、行動療法としては正の罰より人気が高い。


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