古典的条件づけでは何が学習されているのか

古典的条件づけはCS(条件刺激)とUS(無条件刺激)を対呈示することで、CSに反応するようになるわけだが、CSが何と結びついて反応を生起するようになるのかという問題が残される。

具体的には「CSの後にUSが来るということを学習することで反応が起こる」という刺激と刺激の連合であるS-S連合と、「CSに対して反応を行う」という刺激と反応の連合であるS-R連合とがある。別の言い方をすると、USを経由するのかしないのかである。


1次条件づけ

S-S連合を支持するものとしてレスコーラの実験がある。レスコーラはUSを経由することを確かめるために、USを馴化させて価値を下げる「USの低価値化」という手法を用いた。手続きはラットのレバー押し反応の条件性抑制である。

まず、ラットを馴化群と統制群に分け、光をCS、大きな雑音をUSとして条件づけを行なった(URは恐怖反応)。次に馴化群だけに雑音を繰り返し聞かせ、雑音に対する恐怖を馴化させた。そしてテスト段階では両群に光の呈示を行い、レバー押し反応がどれだけ抑制されたかを記録した。その結果、抑制のレベルは統制群では高いが、馴化群の抑制は有意に低いことが明らかになっている。

この結果は、CSの反応(CR)の強度は、USと反応の連合の強度に依存しているということであり、CSとUSの結びつきであるS-S連合であると結論づけられた。

2次条件づけ

高次条件づけで紹介した感性予備条件づけは、明らかにCS1とCS2の連合が形成されている(CS-CS連合)。ここまで条件が揃えば、これらのCSとUSは連合が形成されていると考えることもできるが、そう単純ではないことがホランドとレスコーラの実験によって明らかにされている。

彼らはラットを用いて、食物をUS、光をCS1、音をCS2として2次条件づけを行なった。その後、ラットを満腹にさせてUSの価値を下げると、食物への関心は明らかに低下するが、CS2である音が存在すると活動反応は消失しなかった。したがって2次条件づけではS-R連合が形成されると結論づけている。

その後、2次条件づけではS-S連合とS-R連合どちらの証拠も見つかっている。2次条件づけにおいては、S-S連合とS-R連合のどちらも起こりうると結論づけることができる。


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