集団間態度

社会心理学では、自分が所属する集団は内集団と呼ばれ、それ以外の集団は外集団と呼ばれる。自分がよく知る内集団の成員のことを悪く言われると、まるで自分が悪く言われているかのように認識することがあり、内集団と外集団では認識の仕方が異なっていることがわかる。これは、自己に対してと他者に対しての認識の仕方が異なることと似ている。

また、個人に対して態度が形成されるのと同じように集団に対しても態度が形成され、これは集団間態度と呼ばれる。一般的に、態度は認知的、感情的、行動的という3つの成分をもつとされている。態度の認知的要素に位置づけられるのがステレオタイプである。これに「好き-嫌い」といった感情的成分が加わると偏見と呼ばれる。そして、ステレオタイプや偏見に明確な行動が伴うと差別と呼ばれる。

ステレオタイプや偏見は、ネガティブなものだけを指すわけではなく、ポジティブな内容のものも含んでいる。

このページでは、集団間態度の形成や維持についての認知過程をみていく。


錯誤相関

ヒューリスティック」のページの利用可能性ヒューリスティックでも記載した通り、私たちは思い出しやすい出来事などは、実際よりも頻繁に起こっていると錯覚しやすい。そのため、少数派などの理由で人目を引きやすい集団の成員が、少しでも通常と異なる行動を示すと「その集団内のすべての人が同様の行動をとる」と認識してしまうことがある。この現象は、集団と行動傾向にありもしない相関関係が錯覚されるという意味で錯誤相関と呼ばれている。

相関関係があるかないかに関わらず一度そのように認識してしまうと、その行動に注意を向けやすくなるため、この認識はより強くなる可能性が考えられる。このような錯覚がステレオタイプ形成のもとにもなるのである。

外集団均質性効果

内集団の成員に対しては多様性や複雑性を認知するが、外集団の成員に対してはお互いが類似しているように知覚する現象は外集団均質性効果と呼ばれる。

人の認知システムは効率よく情報を処理できるように、似ているものを分類しカテゴリー化されている。そのため未知のものについても、類似しているものと情報を結び付けることによって、ある程度の推測をすることができる。集団は一つのカテゴリーとして分類されやすく、そのカテゴリー情報と結び付けられるため、このような現象が起こりやすいのである。

ステレオタイプ内容モデル(SCM)

フィスクらは、ステレオタイプを対象集団の能力と人柄の二つ次元でとらえるステレオタイプ内容モデル(SCM)を提唱した。このSCMによると、能力の判断は対象集団の社会的地位に基づいており、人柄の判断は相手が味方であるか競争相手であるかに基づいている。

人柄の良否は積極的な面での援助と危害のどちらが起こりやすいか予測することができる一方、能力の高低は消極的な意味での援助と危害を喚起するという。「人柄は良いが低能力」の対象には積極的に援助するという姿勢がみられる一方、できることなら無視したいという消極的な危害の可能性もある。「人柄が悪くて低能力」の対象にはいじめや暴力などの積極的な危害と消極的危害の両方が起こりやすい。「人柄は悪いが高能力」の対象には積極的な危害が見られる一方、とりあえず言うことを聞いておく、という消極的援助が起こりやすい。「人柄がよく高能力」の対象には積極的援助と消極的援助が起こりやすい。


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