高次な欲求

人は自分の力で生活してみたいという自律の欲求や、目標を達成したいという達成の欲求をもっている。これらはまとめて成長欲求と呼ばれ、生理的欲求とは異なる高次な欲求である。一般的に成長欲求が起こってくるには、下位にある欲求がある程度満たされている必要があり、下位欲求が満たされないと成長欲求を実現することは難しいとされている。


誘因

人を行動に駆り立てる外部からの要因は誘因と呼ばれる。誘因はそのときの状況や人によっても異なるので、ある人にとっては誘因となるが別の人にとっては誘因とはならないこともある。

また、誘因が多いほど動機づけが高められるわけではない。誘因が多すぎると注意が分散したり、どれを選べばよいのか迷ってしまい、動機づけが高まらないこともある。必要なときに必要なだけの誘因がある場合に動機づけは高まりやすい。

外発的動機づけと内発的動機づけ

人にやる気を起こさせるために、報酬や罰を与えることで動機づけを行う方法を外発的動機づけと呼び、好奇心や関心によって自発的に行動を起こすことを内発的動機づけと呼ぶ。外発的動機づけに基づく行動は何らかの目的を達成するためのものであるが、内発的動機づけに基づく行動は行動そのものが目的となる。

強制的に行われる外発的動機づけは自発性の低いものであるが、それが自分の価値観や目的と一致している場合など、外発的動機づけと内発的動機づけは両立することもある。

好奇心や興味によって行っている作業に対し何度か報酬を与えた後に、同様の作業を行っても報酬を与えない状況をつくりだすと、その作業に対する意欲が低下するというアンダーマイニング効果が知られている。これは、内発的動機づけに基づく行動に対し、外的な誘因によって動機づけが低下する1つの例であるが、一般的に外発的動機づけよりも内発的動機づけの方が良い結果をもたらすとされている。

ただし、自己決定理論によると外発的動機づけと内発的動機づけとの間には、取り入れ・同一化・統合という中間的な動機づけが存在しており、外発的動機づけが取り入れ・同一化というプロセスを経て内発的動機づけと統合されると、純粋な内発的動機づけへと移行すると考えられている。

達成動機

人は目標を決めて、それを成し遂げようとする達成動機をもっている。1つの目標を達成すると、より高い目標を掲げてそれを達成しようと努力するのが達成動機の1つの特徴でもある。

ただし、帰属理論によると達成動機の強い人と弱い人では行動の結果をどのように考えるかの違いによって、次の行動が異なってくるとしている。

達成欲求の強い人は、目標を達成すると自分が努力した結果であると考え、達成できなかった場合は努力が足りなかったと考える。逆に達成欲求の弱い人は、目標を達成しても周りの人に恵まれていた、運が良かったと考え、失敗すると自分にそれだけの能力がなかったからだと考える。

つまり、達成欲求の強い人は行動の結果を内的要因に帰属する傾向があり、努力次第で結果が変わると考えているのに対し、達成欲求の弱い人は外的要因に帰属する傾向が強く、自分の能力は普遍的であると考えている。この違いによって次の目標に向けての行動に違いが出てくるとしている。


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