科学的説明
DNモデル(演繹的法則的モデル)
科学的説明とは何か、という問題に対する最初のモデルが、ヘンペルのDNモデル(演繹的法則的モデル)である。このモデルでは、科学的法則と初期条件から、演繹的推論によって説明される事象を導くことが、科学的説明であるとしている。
説明される事象を記述した文を被説明項と呼び、被説明項を論理的に導くために用いられる文を説明項とすると、科学的説明であるための条件は、下記のように表される。
- その推論は論理的に妥当な演繹である。
- 説明項は少なくとも一つの一般法則を含み、それは被説明項を導き出すのに必要なものでなければならない。
- 説明項は経験的に確かめることが可能なものでなければならない。
- 説明項を構成する文は真でなければならない。
このモデルはいくつかの問題を抱えていたが、このモデルを発端に様々なモデルが提案されることとなった。
ISモデル
DNモデルを発表したヘンペルはその後、統計的な法則を用いた説明モデルとして、ISモデルを発表している。DNモデルは演繹的推論によって説明される事象が導かれるのに対し、ISモデルは統計的な法則を用いるため、帰納的に導かれる事になる。
因果メカニズムモデル
説明とは原因を突き止めることだという考え方を、科学的説明のモデルに当てはめたものを、因果メカニズムモデルと呼ぶ。統計的関連性と因果関係から説明するという二段階からなるものになる。
統合論
キッチャーによる統合論は、DNモデルの抱える問題を解決することを試みたものである。演繹的推論であるDNモデルの基本的な形に、統合的な理解をもたらすという条件が加えられる。