単位と次元

単位

物理学は物理量を定量的に測定し、それに基いて自然法則を推論していく科学である。物理量を測定するには、量の単位が必要である。力学では長さ、質量、時間の3つの単位を基本単位と呼び、基本単位の掛算、割算などによって表わされる単位を組立単位、または誘導単位と呼ぶ。

力学では長さにm(メートル)、質量にkg(キログラム)、時間にs(秒)を使用するMKS単位系や、cm(センチメートル)、g(グラム)、s(秒)を使用するCGS単位系が一般的に使用される。

長さ

長さの単位は、地球の子午線の北極から赤道までの距離の1000万分の1を1mと定義し、その基準として、白金とイリジウムの棒状の合金に、目盛りをつけた国際メートル原器が作成された。その後、普遍的で高精度な基準として、クリプトン86原子が放出する光の波長を原器と比較して、その1,650,763.73倍を1mと定義。そして現在では、真空中で光が1/299,792,458秒に進む距離を1mと定義している。

質量

質量の単位は、水1リットルの質量を1kgと定義し、白金製の原器が作成された。その後、白金とイリジウムの合金で国際キログラム原器が作成され、現在でも使用されているが、経年変化が懸念されており、近い将来変更される予定である。(執筆2013年)

時間

時間の単位は、地球上の位置地点で、太陽が南中してから再び南中するまでの時間の平均値(平均太陽日)を24等分したものを1時間、それを60等分したものを1分、さらに60等分したものを1秒と定義された。その後、セシウム133原子が放射する光の周期の9,192,631,770倍の時間を1秒と定義している。

次元

長さL、質量M、時間Tを基本量とするとき、物理量Qの次元を[Q]=[LlMmTt]と書き、l、m、tを物理量Qの長さ、質量、時間に関する次元という。

左右両辺の各項の次元が等しい式は、次元的に健全であると呼ばれ、物理関係式は次元的に健全でなければならない。これを次元一致の原理と呼ぶ。よって、物理量の次元を比較することで、式のチェックや未知の物理量の次元決定などが容易に行える。

長さlの振り子の周期と重力加速度gの関係を見るとき、[l]=[L][g]=[LT-2]なので、[g/l]=[T-1]となる。周期の次元は[T]なので、T=kl/gと書ける。k2πであるが、無次元量であるため次元解析では定めることができない。

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