完璧主義

多くの人は物事に対して自分なりにある程度完璧にこなしたいという欲求をもっているが、通常は時間的制約を意識したり、時間の経過とともにこの欲求は弱くなり、どこかで見切りをつける。完璧主義とは、この欲求が強くなり過ぎたり、欲求が持続するということである。

完璧主義は、精神障害の病前性格のひとつとも言われる一方で、仕事や私生活で高いパフォーマンスを発揮する人もたくさんいる。

完璧主義にはいくつかのパターンが存在するが、その多くに共通するのは自分の期待通りにものごとを行わないと、すべてが失敗に終わったように感じるという強迫的な観念である。これは、うまく機能しているときには高いモチベーションと高いパフォーマンスを発揮する一方で、ちょっとした失敗でも自己否定に陥りやすい。また、仕事や対人関係など本人の努力だけではどうにもならない問題で壁にぶつかりやすい。

実際に、強迫性障害をもつ人のほとんどが完璧主義者であるとも言われている。

完璧主義の心理的特徴

義務感が強い

完璧主義と呼ばれる人たちは、妥協や曖昧さを受け入れられず、秩序や道徳を重んじる傾向が強い。うまく機能すれば優れた自己管理能力を発揮するが、行き過ぎると妥協できない融通が利かないなど、対人関係に支障をきたしたり潔癖症を患うこともある。

正しく善良でなければならないという義務感によって理性が発達し過ぎて、本能や欲望をうまく解放できず病的なものへと変貌してしまうこともある。欲望を汚らわしいものと捉え、性に対してひどく抵抗を感じたり、拒食症を患ったりもする。実際に拒食症にかかる人は、完璧主義的な特徴をもっていることが多いとされている。

子供への虐待を行う親の特徴のひとつにも、義務感の強さがある。義務感が強い親の場合、子供がまだ小くて自分の意志をあまり持たない時期には、虐待が行われることは少ない。子供が自分の意志を持ち始め自由に行動するようになると、こうしなければいけない、このような行動はさせてはいけないという責任感の強さから、虐待に発展する傾向がある。

二分法的な思考

「成功か失敗」もしくは「0か100か」の二分法的な思考をもつ人も多い。99%の完成度でも失敗とみなしてしまうため、いつも満足できないという状態に陥ってしまう。このような欲求不満の慢性化によって、うつ病などの気分障害やアルコール依存症となってしまうケースもある。また、整形を繰り返す人がネットやテレビで話題になることがあるが、これも二分法的な思考が強いといえる。

100%が不可能だと感じてしまうと、なにもしない方が良いという思考が生まれることもある。毎日掃除をしてもすぐに汚れてしまうので、何もしなくなりゴミ屋敷となってしまう例や、ダイエットを始めたが、少しくらい大丈夫という理由で間食をしてしまい、100%が崩れたことで過食に走ってしまう例もある。

すべてを自分で行うか、すべてを他人に任せるかという二分法もある。自分が途中まで行った仕事を他人に任せたり、その逆もまた苦手であることが多い。

完璧主義が行き過ぎると現れやすい症状

主な原因

完璧主義者の傾向として、子供の頃に母親の期待を一心に背負っていたことが挙げられる。期待に答えられなければ、母親の怒りや落胆、または無関心という罰によって強迫的観念が植え付けられる。その結果、子供はその期待に答えようとして完璧を求めてしまうのである。

幼少期の母親との関係は、子供が母親に期待をして、母親がそれに答えることで愛情を感じるのである。つまり、子供と母親の関係性が逆転しているのである。

愛情というのは相手に対して自分のリソースを無条件に与えることと言えるが、親が子供に期待するというのは心理的または物質的報酬を求めているということなので、そういう意味で愛情不足といえる。