感性の測定
感性とは物事に対する感受性を意味し、美や善などの評価判断に関する印象を知覚する能力であるといえる。感性は視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚などの感覚の入力レベルから、入力されたものの評価や判断に至る過程を含むので、その測定方法は多岐に渡る。ここでは入力された情報の評価判断に関する測定方法の代表的なものを取り上げる。
主観評価法
評価対象に対して、言語による評価者の主観的評価を調べる方法を主観評価法と呼ぶ。いくつかの選択肢の中から、評価者に選択させる選択法や、順位をつけさせる順位法、評価者の言語情報をプロトコル分析による手法などがある。
一対比較法
評価対象を2つずつのペアにして、評価者に比較判断させる方法を一対比較法と呼ぶ。一対比較法は2つずつをペアにして総当たりで選択させるため、評価対象の数が多くなりすぎると、時間がかかり評価者の負担が大きくなる。評価対象の数は10個までが一般的である。
セマンティック・ディファレンシャル法
反対の意味を持つ形容詞対に対して、対象の印象を評価するものをセマンティック・ディファレンシャル法、またはSD法と呼ぶ。得られたデータは因子分析にかけられ、主要次元を抽出する。少ない次元で印象の概要をとらえることができるので、広く利用されている。過去の研究では、評価性因子、活動性因子、力量性因子の3つが安定して抽出されることが多く、主要な感性次元として扱われることが多い。
参考書籍
- 『認知心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣(2010)
- 『認知心理学 (放送大学教材)』 放送大学教育振興会(2013)
- 『錯覚の科学 (文春文庫)』 文藝春秋(2014)
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