企業の分類と形態

企業はさまざまな尺度で分類することができるが、一般的にみられるものとしては、企業規模による分類と産業による分類がある。

企業規模では、大企業、中小企業、零細企業などに分類される。この企業規模は、資本金や従業員数、売上高などが分類の基準になるが、これらの具体的な数値は国や地域あるいは機関によっても異なる。

産業による分類では、第一次産業、第二次産業、第三次産業という分類が一般的である。第一次産業は農林、水産といった天然資源に直結した業種であり、第二次産業は加工・製造業、第三次産業はその他の産業で、主にサービス業である。


公企業と私企業|企業形態論

上記以外にも、法規上の分類として、事業の目的や出資者の種類による分類がある。この分類では昔から出資と所有、所有と経営の結びつきが議論の対象となっており、このような企業の所有形態を論じる分野は企業形態論と呼ばれ、経営学の中では古くからある分野である。

この分類では、大きく公企業、私企業、公私合同企業に分けられる。日本の場合、左から順に第一セクター、第二セクター、第三セクターと呼ばれることもある。

所有と経営の組み合わせは、公有公営、公有民営、民有公営、民有民営の4つが考えられる。単純に公有公営を公企業、民有民営は私企業、公有民営、民有公営を公私合同企業と分けることもできるが、公私合同企業を「公と私とが合同して設立した企業」という定義を用いると、必ずしもこれには当てはまらない。

一般的には「誰が経営しているか」よりも「誰が所有しているか」という出資者の種類によって、公企業と私企業とに分けられる傾向がある。

公企業

公企業は、国や地方公共団体が所有・経営する企業であり、公益性を目的としているため非営利である。企業活動が特別な法律などによって規制されている場合が多く、その業界では独占的であることも多い。

公企業は、経営の主体がどこにあるのかによって行政企業と公共法人に分けることができる。行政企業には国営企業と地方公営企業があり、行政が所有と経営をする企業である。一方で公共法人は、法人として行政府から独立した企業であり、さらに特殊法人や独立行政法人、認可法人、特殊会社などがあるが、必ずしも明確に分類されるわけではない。

私企業

私企業は、広義には私人(民間人)が出資している企業である。狭義には私人(民間人)が出資している「営利企業」を指しており、個人企業、合名会社、合資会社、合同会社、株式会社がある。

個人企業とは、無限責任制である個人事業主(自営業者)を指しており、有限責任制をとる株式会社は個人企業ではない。上に挙げた合名会社、合資会社、合同会社、株式会社は法人企業であり、営利を目的としているため営利法人と呼ばれる。また、合名会社、合資会社、合同会社は合わせて持分会社とも呼ばれる。

無限責任とは、出資金額に関係なく、損失はすべて企業者によって負担される。債務の支払いが企業の財産で支払えない場合には、企業者個人の財産によって支払わなければならない。これに対し有限責任とは、出資額を限度として損失に対して責任を持つことで、個人の財産によって損失を負担する義務はない。ただし、金融機関などから融資を受けるときに、個人が企業の債務返済を保証する契約をしている場合には、個人の財産によって返済しなければならないため、実質的には無限責任を負う場合もある。

合名会社は、無限責任を負う企業者によって構成される。個人企業との違いは、出資者が単独ではなく複数いることである。合名会社では、この出資者は社員と呼ばれ、社員は経営権を有する業務執行社員となる。企業活動から得られる利益は出資の割合に応じて受け取ることができるが、損失も負担しなければならず、その責任は無限である。

合資会社は、無限責任をもつ出資者と有限責任をもつ出資者という2種類の出資者がいる。合名会社同様、無限責任をもつ出資者は業務執行社員として経営責任を負うが、有限責任をもつ出資者は業務執行や代表権をもたない。

合同会社は、会社法によって新たに設けられたもので、アメリカのLLC(limited liability company)をモデルとして導入された。実質的にそれまでの有限会社を引き継ぐものとなっている。合同会社は有限責任社員だけで構成されており、この中から代表権をもつ代表社員や、経営権をもつ業務執行役員を選出できる。株式会社との主な違いは、出資(所有)と経営が一体であること、内部自治が認められており、監視機関の設置が不要であること、原則として定款の作成・変更には全社員の一致が必要であること、持分の譲渡や新たな社員の加入には(基本的には)全社員の同意が必要になることなどが挙げられる。

株式会社については「株式会社の仕組み」のページで詳しく見ていくが、主な特徴は有限責任制であること、持分譲渡が自由であること、会社機関の設置が必要であることなどがある。

民営化と公営化

民営化とは、公企業が私企業となること、またはその過程を指す。根拠法が廃止され株式が売却されると完全民営化と呼ばれる。

民営化される理由のひとつには、競争を促したり私企業の技術やノウハウを活用することで、行政の効率化やサービスを向上させることが挙げられる。したがって、法改正などを伴い新たな市場ができることもあるため、大きなビジネスチャンスが生まれることもある。ただ、すべてを民間に任せることができない事業もあるため、部分的な民営化にとどまることもある。

民営化とは逆に、私企業が公企業となる公営化が行われることもある。主に私企業の経営破綻などによって国民の生活に大きな影響を与える場合や、民営化によって問題が多発した場合に、国民の利益を守るために行われる。


参考書籍
おすすめの実用書
経営学カテゴリー
現代の経営環境
トップメニュー
物理学