日本の株式会社の特徴

株式会社の所有者は株主であるため、欧米においては「企業は株主のもの」という企業観が支配的である。しかし日本では、文化的な背景もあってか「会社は従業員のもの」という認識が強い。これは実際の株主還元においても表れており、日本では企業が利益をあげてもその配当は限定的であり、欧米の企業と比べてもかなり低い水準に抑えられている。

これらは全体的な傾向であって、日本企業のすべてがそうだというわけではないし、それぞれの期間における経済状態や社会的な背景が反映されていることもある。また、近年では企業や資本市場のグローバル化によって大きく変化している部分もあるし、改善しようとする動きも見られるため、必ずしも以下で記述した内容が当てはまるわけではない。ただし、文化的な背景から、慣行的に根強く残っているものもある。


日本企業の株主構成

そもそも、日本の個人株主が少ないという背景もある。

第二次世界大戦後の日本では財閥解体が行われ、財閥各社が所有していた株が市場に放出された。これは証券民主化(株の民主化)と呼ばれ、このとき個人株主が占める割合は全体の7割に達した。しかし、その後は一貫して個人株主の割合は減少している。その理由はいくつか考えられるが、その多くは株式所有の機関化と関係している。

まず、解体された財閥各社のグループ化である。グループ各社が株の持ち合いを始め、相対的に企業の保有比率が上昇した。

また、高度経済成長期の日本では企業が積極的に設備投資をしたが、株式市場が未発達であったこともあって、資金は銀行からの借入金によることが多かった。そのため、オーバーローン現象と呼ばれる貸出超過が進んだため、銀行による出資も増えていった。

個人株主の比率が減少した背景には、もちろん個人のマインドの変化もある。山一証券の破産が株への不信感を与えたことはその最たる例である。

バブル崩壊後においては、外国人株主の割合が一貫して上昇している。

日本企業の資金調達

取引のある金融機関の中でも、もっとも取引量が大きく、企業の金融について責任を持つとされる存在はメインバンクと呼ばれる。このメインバンクを中心とした間接金融による資金調達が、日本企業の特徴のひとつである。そのため、戦後の日本企業における負債比率は、欧米の企業と比べてかなり高くなっていた。

近年においては、資本市場が整備されたことと、内部留保の比率が増えてきたこともあり、欧米企業との負債比率の差は小さくなっている。ただ、このような負債を中心とした資金調達の慣行は現在でも続いており、いわゆるスタートアップやベンチャーと呼ばれる新興企業への出資環境が構築されていないことにも少なからず関係していると思われる。

日本企業の経営者

欧米での経営者は、株主に代わって経営を任されている専門経営者という位置づけが明確になっている。そのため、経営学修士号(MBA)を取得した者など専門知識をもつ人を外部から雇い入れるケースが多い。

これに対して、日本の経営者は外部からのスカウトではなく、内部からの昇進によって経営者となるケースが多い。つまり、従業員の延長線上に経営者がいるという構造になっている。そのため、日本企業の経営者は、営業や生産・技術などの現場を経験してきた者が多いため、欧米の経営者とはバックグラウンドが異なる。また、欧米の経営者と比べると、報酬も低い水準に抑えられている。

日本企業では、経営者が取締役である場合が多く、欧米の企業と比べると社外取締役が極端に少ない。これは、会社は株主のものであるという認識が薄いため、外部からの監視機構が強く働かないためと考えられる。

日本企業の経営目標

一般的に、欧米企業は短期的業績を重視するのに対し、日本企業は長期的業績を重視すると言われている。これは、このページの冒頭でも示したとおり、欧米では企業は株主のものであるという考えが強いためである。株主は短期におけるわかりやすい業績指標として利益や利益率を重視する傾向にあるため、企業側がこれに応える形になっている。

一方で日本企業では、株主からの圧力が欧米程強くはないため、短期的な業績に追われることなく、長期的な視点で事業を行うことができる。その結果、短期的な利益よりも長期におけるマーケット・シェアが重視される傾向がある。


参考書籍
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