マイノリティ・インフルエンス
歴史を振り返ると、圧倒的な多数者に対して少数意見が形勢を逆転させるという事実がある。このように少数者が多数者に影響を与えることをマイノリティ・インフルエンスと呼ぶ。一般的に少数意見が影響力を持つ場合は、少数者全員の意見が一致していることと、少数者が頑固で独断的ではない場合である。また、社会的な背景が少数意見に影響力を持たせる場合もある。
ホランダーの方略
過去に、その集団に対し大きく貢献したメンバーが少数者になった場合、多数者に対して影響を与える可能性がある。
多くの人が感じたことがあると思われるが、どの集団においても肩書以外で周りの人から一目置かれる人というのは存在している。これは実績や印象による権威ともいえるため、同調や服従とも関連してくる。
モスコビッチの方略
少数者が一貫性を持って意見を述べ続けることで、多数者に影響を与える可能性がある。
モスコビッチらは、4名の実験参加者と2名の実験協力者という6人の集団で、明度の異なる青色のスライドを多数提示する実験を行っている。提示されるスライドは明らかに青色に見えるが、2名の実験協力者は一貫して緑とよび続けた。すると、多数者である4名の実験参加者の中にも緑と答えるものが現れたのである。
この実験には続きがあり、今度は青から緑までのさまざまな色を提示して命名してもらった。つまり、青と緑の境界線を決めてもらったのである。すると、先の実験で緑と言い続けた実験協力者と過ごした実験参加者は、緑の知覚領域が広がっていたのである。すなわち、少数者の影響は意識的なレベルだけでなく、非意識的なレベルにおいても観察されたのである。
参考書籍(PR)
- 『社会心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣(2010)
- 『Social Psychology: Goals in Interaction (6th Edition)』 Pearson(2014)
- 『心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣(2004)
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