恋愛の対人魅力

対人魅力の心理的要因

自己是認欲求(自己肯定欲求)

人は他者から良い評価を得たり自分の考えを肯定してもらうことで、自尊心を高めたいという基本的な欲求がある。これを自己是認欲求、または自己肯定欲求と呼ぶ。この欲求は自画自賛では不十分であり、人から良い評価を得ることで満たされる。そのためこの欲求を満たしてくれる相手に好意を抱きやすい。

好意の互恵性(好意の返報性)

人は自尊心を保つために、相手が自分に好意を持っていることがわかると、自分も相手に好意を持つようになる。これを好意の互恵性、または好意の返報性と呼ぶ。これは人間関係はもちろん、恋愛関係の基本でもある。自分に好意を持ってもらいたい相手がいる場合は、まず自分の好意を示すことが重要である。

嫌悪の報復性

好意の互恵性と同じで、相手が自分を嫌っていることがわかると、自分もその相手に嫌悪を抱くようになる。これを嫌悪の報復性と呼ぶ。人は自尊心を傷つけられると、相手が自分を嫌っていると考える傾向がある。多くの好意的な態度の中に、相手を批判するような行動や言動が一つでも含まれていると、相手はそれに敏感に反応してしまう。

類似性と共通性

人は自分と相手に類似性や共通性があると、安心感を得て好意を持つようになる。類似点が多くあることに越したことはないが、類似点の量よりも、一つの物事にたいしての類似性の高さが好意の高さに依存することが実験によって明らかにされている。

バランス理論

共通の趣味があると相手に好意を持つことは、バランス理論からも説明できる。バランス理論では自分と相手、そして趣味という三角関係において、各辺が相手との関係性で、好意を「+」、嫌悪を「-」で表す。この三つの関係を掛け合わせたものが「+」だと安定で、「-」だと不安定になり、安定する「+」へと変化していく。つまり共通の趣味があると、両者と趣味の関係は「+」となるため、両者の関係も安定した「+」、好意へと変化していくことになる。

社会的交換

共通の趣味があるということは、それについての会話ができたり一緒に楽しむことができるので、心理的な負担が少ない。もし相手が自分の趣味に関心がなければ、相手に気を使って話題にすることや一緒に楽しむことができず、心理的コストが大きくなってしまう。また、共通の趣味は自分の趣味を認めてくれるという社会的な支持が得られ、特に異性からの支持は心理的な報酬が大きい。

仮定された類似性

人は好きな相手に対して、実際以上に自分の性格と似ていると錯覚しやすい傾向がある。これを仮定された類似性と呼ぶ。特に自分が好ましいと思っている性格について強く現れる。

印象操作

人は魅力的な人と出会った時、相手の理想像に自分を近づけた自己呈示を行うという印象操作が、頻繁に行われていることが実験により明らかにされている。

単純接触効果

人は初めて見る人よりも、何度も目にしている人に好意を抱きやすい。これは広告などと同じ原理で単純接触効果と呼ばれる。値段や機能が同じ商品であれば、聞いたことのない名前の会社の商品より、何度も見たり聞いたりしている名前の会社の商品を選んで購入する。これは人に対しても同じで、会話を交わしたことのない人でも、何度も見たことがあるというだけで、その人に対する好意が増すという実験結果もある。ただし、単純接触効果は対象にマイナスの感情を持っている場合には効果がないので、注意が必要である。

物理的距離と心理的距離

同じ学校の人であったり職場の同僚であったり、人は身近な人と恋に落ちるケースが多い。これは単純接触による効果もあるが、物理的距離が近ければ自然と相手とのやり取りも増え、お互いのことを知ることができ、頼みごとや相談ごとなどもしやすい。心理学では相互作用の回数が増すほど、基本的には心理的距離が近くなると考えられるため、近くにいる人ほど親密な関係に発展しやすい。逆に物理的距離が遠い遠距離恋愛では、相互作用の回数が少ないため心理的距離も遠くなってしまい、近くにいる人へと興味が移ってしまいやすい。

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