友人関係の理論

親密な人間関係を日常的な感覚で分類すると、親類関係、恋愛関係、友人関係に分けられる。親類関係は家族や親戚、恋愛関係は恋人のことであり、恋人を辞書で引くと「恋しく思う相手」とある。しかし、友人を辞書で引くと「親しく交わっている人」となっているので、一般的に使われているものよりももっと広い範囲を表していることがわかる。実際に、親戚においても友人関係は成立するし、既婚者の多くは配偶者を親友とみなしているという調査結果もある。心理学においても、友人と恋人には共通する部分が多いため、友人関係は恋愛関係の上位概念と考えてもよさそうである。つまり、親しい関係全般である。親類関係については、血族(血縁)や姻族といった別の概念なので、友人関係と同時に成立可能であろう。

このページでは、人はなぜ親しい関係つまり友人関係を結ぼうとするのかについて、包括的な理論である強化-感情モデルと社会的交換理論をみていく。


強化-感情モデル

私たちは、一緒にいて心地よい相手や気分を良くしてくれる相手に近づきたいと思い、気分を損ねる相手は避けようとする。これを前提としたモデルが強化-感情モデルである。このモデルによれば、自分の意見に同意してくれる相手と話したり外見が魅力的な相手を見ると気分が良くなるので親密な関係を結ぼうとする。また、気分が良くなる出来事があったときに、たまたまそばにいる人を好きになることも説明できる。

強化-感情モデルは、条件づけの考え方が根底にある。自分の気分と特定の相手にはもともと結びつきはないが、相手と一緒にいるときに何らかの気分が良くなる現象が生じることによって、良い気分と相手を結びつける。これを何度か繰り返すと、相手を見たり想像したりするだけで気分が良くなるのである。

このモデルはかなり広い範囲に適用できるものであるが、何が気分を良くするのかまでは教えてくれないし、不快な経験をしても目の前にいる相手が原因ではないとわかっていれば、極端に嫌いになることはない。また、気分を良くしてくれる相手ではなくても、別の目的があれば良い関係を築きたいと思うであろう。

社会的交換理論

私たちの生活は、多くの場面で何らかの資源の交換によって成り立っている。資源には物、お金、情報、サービス、労力、社会的地位など多種多様なものがあり、このような資源の交換が社会的な人間関係の本質であるとする理論は社会的交換理論と呼ばれている。

上記の強化-感情モデルは、感情的あるいは生理的な要因によって動機づけられるとしているが、社会的交換理論では、人はもっと計算的で合理的であるとする経済学的なモデルを採用している。つまり、費用対効果が最適化されるように動機づけられるとする。

社会的交換理論もかなり広い範囲に適用できるが、同じ結果が得られたとしても関係性の違いによって費用対効果が異なるように感じられるのはなぜかという問題には答えない。例えば、親しい友人にプレゼントをもらったら嬉しいが、街を歩いていてまったく知らない相手にプレゼントをもらったら同じように喜べるだろうか。おそらくプレゼントを受け取らない人のほうが多いのではないか。親しくなればまたプレゼントがもらえるかもしれないと考える人は少ないだろう。

費用対効果の中に感情的成分を含めるか否かについて議論の余地があるかもしれない。もし感情的成分を含めた場合には、強化-感情モデルを内包したものとなるだろう。


参考書籍
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