印象形成

私たちは他者一人ひとりに対して個別の印象をもっているが、国や地域、人種や性別といった集団的なカテゴリーにおいても同じように印象を形成している。例えば「スペインやイタリアに住む人たちは情熱的である」「沖縄の人はのんびりと穏やかである」など、特定の個人を指していないにも関わらず、その集団に所属する個人の印象を答えることができるのである。

印象形成の研究は、他者を特性という観点から把握しようとしていたが、近年では個別の特性と集団的カテゴリーとしての特性の2つの情報から印象が形成されるとする包括的モデルがいくつか提案されている。その中でも広く知られているのがフィスクらによる連続体モデルである。


連続体モデル

連続体モデルでは、他者の所属する集団カテゴリーに関する情報に基づいて印象を形成するカテゴリー依存型処理と、他者の個別の詳細情報に基づいて印象を形成するピースミール処理を想定している。このモデルでは、対象となる人物に出会ったときに、まず服装や髪型、振る舞い方などの瞬間的に目で捉えることができる情報をもとにその人物の性別や職業などのカテゴリー化が行われる。その人物について関心がなかったりそれ以上知る必要がない場合は、その人物に関する情報処理はここで終了する。

目標や動機と照らし合わせてその人物についてさらに知る必要がある場合には、次の段階であるピースミール処理へと進む。ここでは相手の詳細な情報について吟味し、カテゴリー情報との一致が検討される。一致した場合はそこで処理は終了するが、一致しない場合は他のカテゴリー情報と照合され再カテゴリー化が行われる。ここでその人物のカテゴリー化が困難であると判断されると、1つずつ個別の属性を分析し統合するピースミール統合が行われ、印象が形成される。

このように他者の印象形成においてはカテゴリー依存型処理とピースミール処理の2つが働くわけだが、カテゴリー依存型処理はわずかな情報から相手の印象を形成でき、効率的で認知資源を節約できるため、カテゴリー依存型処理が優勢になりやすいと考えられている。また、ピースミール処理は目標や動機がないと働かず多くの認知資源を使用するため、あまり興味のない相手の第一印象が変わりにくいということも示している。

連続体モデルは印象形成過程の枠組みを提供するものであるが、印象形成において、何に注意を向けるのか、それをどのように解釈するのかなどの詳細については「印象形成の特徴|認知心理学」を参照して欲しい。


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