情動と気分

心理学では感情という言葉の他にも情動や気分という言葉も使われる。情動は明確な原因によって引き起こされる強い感情のことで、恐怖や怒り、喜びなど生理的な興奮を伴い、その持続時間は一般的には短時間である。

情動に対し弱い感情は気分と呼ばれる。気分は必ずしも意識できるとは限らず、原因が明確でない場合もある。大きな感情の変化はないが、情動に比べ長く続く。

我々は、気分が良いときには喜びなどのポジティブな情動が生起しやすく、気分が悪いときには怒りなどのネガティブな情動が生起しやすいということを経験的に知っている。このことからも分かる通り、情動はもちろん気分も我々の情報処理過程に大きく影響してくる。


遺伝子と文化

人の感情の多くは、性別や人種、文化の違いなどがあっても共通しているところが多い。特定の現象を目にしたとき、人々は同じような情動を抱き、その表情も極めて似ている。動物行動学者のアイブル=アイベスフェルトによると、生まれつき視覚と聴覚に障害を持っている子どもたちでも、笑う、怒る、驚くなどの一般的な情動反応を示すという。また、遺伝子的に異なる人たちは、感情の面でも異なる部分があるということもわかっている。

遺伝子によって感情が影響を受けることは確かだが、感情の表現方法に関しては文化的な違いも見られる。例えば、ヨーロッパ系アメリカ人は興奮性の感情表現を大切にしているが、香港系中国人は比較的穏やかな感情表現を大切にしている。


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