オペラント条件づけの基本と特徴

オペラント条件づけの特徴は古典的条件づけと類似する部分は多い。このページでは類似する点は簡単な説明だけを掲載する。詳しくは「古典的条件づけの基本的特徴」のページに掲載。


獲得、消去、自発的回復

古典的条件づけではCS(条件刺激)とUS(無条件刺激)が対呈示されることで、徐々にCR(条件反応)の頻度が増加していった。同様にオペラント条件づけにおいても、反応に対して強化子を呈示することで、徐々にその反応の頻度は増加していく。

また、強化子を呈示しない手続きをとればオペラント反応は徐々に弱まり、最終的に消去される。その後しばらく経ってから、実験対象を実験箱などの実験環境に戻すと、オペラント反応が再び行われるという自発的回復を示す。

般化と弁別

スキナーの研究」ページの3項随伴性で示した通り、オペラント条件づけにおいても類似の刺激を区別する弁別を示す。逆に類似の刺激に対しても同様の反応を示す般化も一般的な現象として観察される。

復活

オペラント条件づけには自発的回復とは別に復活という現象が知られている。

反応Aを強化した後で完全に消去し、次に反応Bを強化する。そして反応Bを消去し強化が行われなくなると、高い頻度で反応Aが復活するのである。

エプスタインは、奇妙な行動や創造的な行動のいくつかは、この復活の結果として生じた可能性を示唆している。

反応形成

ハトにキーをつつく反応を強化したい場合に、ハトが偶然キーをつつくまで待とうとするとかなりの時間を必要とする。一日待ってもつつかない可能性も考えられる。そこで実際の実験では、もっと頻度の高い行動に強化子を与え、徐々に目標とする反応に近づける方法がとられる。これは、反応形成(シェイピング)または逐次的接近法と呼ばれる。

ハトのキーつつきの場合は、初めはハトがキーに近づいただけで強化子を与え、徐々にその距離を縮めていく。そしてキーに顔を近づける、キーに触れる、キーをつつく、といった具合に目標とする反応に近づけていく。

条件強化

古典的条件づけでの2次条件づけの現象は、オペラント条件づけでは2次強化と呼ばれ、2次条件づけと多くの共通点がある。また、2次強化や3次強化などをまとめて条件強化と呼ぶ。

オペラント条件づけで、US(無条件刺激)に対応するものは1次強化子、1次性のCS(条件刺激)に対応するものは2次強化子、あるいは条件強化子と呼ばれる。中性刺激である2次強化子は、1次強化子と対にすることで反応が形成される。

スキナーはある特定の条件強化子を般性強化子と呼んだ。般性強化子の主な例としてお金が挙げられる。お金は紙や金属でできたただの物質であるため通常は反応を強化することはないが、反応を強化する刺激である食物や嗜好品などと交換可能であるため、強力な強化子として働く。

般性強化子を含む条件強化子は、人間の日常行動の中にも多く存在している。

反応連鎖

ハトのキーつつきやラットのレバー押しの反応は、細かく分割すると複数の反応の連鎖であることがわかる。人間においても、コップの中の飲み物を飲む行為を例にとれば、コップをつかみ、持ち上げ、顔に近づけて、コップを傾けながらコップの縁を口につけて、液体を口に含めて飲むという複雑な行動を意識せずに行なっている。オペラント条件づけは、個体がすでにもっている個別の反応の組み合わせであることがわかる。

このような一連の反応は反応連鎖と呼ばれるが、個別の反応を訓練によって意図的に連鎖させることもできる。サーカスや水族館などで芸を披露する動物たちは反応連鎖の訓練を受けている。

動物の場合に非常に効果的な反応連鎖の訓練に逆向連鎖がある。逆向連鎖では、その連鎖の最後の反応から条件づけていき次第に遡っていく。

例えば、ラットにレバー押し反応をさせると扉が開いて通路が表れ、通路の奥には別のレバーがあり、これを押すと餌となる強化子が得られる、という連鎖を考えてみる。まず最後の反応であるレバー押しで強化子が得られることを条件づけさせる。次は最後から2番目の通路を進む反応から始めるが、このとき通路の奥に強化子が得られるレバーが見えるようにラットを配置すると、比較的早い段階で条件強化を行うことができる。これは強化子が得られるレバーが条件強化子になると同時に、どのような反応をすればよいのかという弁別刺激としての機能ももっているためである。反応連鎖はこのような刺激と反応が交互に現れることで連鎖するのである。

最後に、レバー押し反応で扉が開けば通路が現れ、通路を進めば強化子が得られるレバーがあることを学習しているので、通路が刺激となりラットは走るという反応を起こす。

逆向連鎖以外には、最初の反応から強化していく順向連鎖がある。人間の場合は言語などで最初にすべての段階を教える全課題法がある。ヒト以外の動物の場合は逆向連鎖が最も有効であると考えられているが、人間の場合は反応の種類によって異なるとされている。

古典的条件づけとオペラント条件づけの違い

一般的に、古典的条件づけは不随意的な行動、オペラント条件づけは随意的な行動であるとして区別される。随意的な行動とは、自分でコントロールできる行動という意味をもっているが、随意的かどうかを厳密に定義することは難しい。少なくとも反射行動を含んでいる条件づけがすべて古典的条件づけというわけではない。

ミラーとカーモナは、イヌが一定量以上の唾液を分泌したときだけ水を与えるようにしたところ、イヌの唾液の分泌量は増加した。逆に唾液の分泌量が多い場合に水を与えないようにすると唾液の分泌量は減少した。

水と唾液分泌は関連しないと考えられているため、イヌが唾液量を制御していることがわかる。この唾液分泌は、水という強化子を得るために反応しているのでオペラント反応である。この他にも、血圧や心拍数、脳波などのオペラント条件づけはバイオフィードバックと呼ばれ、医療などの分野でも研究されている。


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