高次条件づけ
古典的条件づけでは通常、CS(条件刺激)とUS(無条件刺激)を対呈示することで、CSだけの呈示でもCR(条件反応)を誘発させるように条件づけを行う。ここで、CSとは別の新たな刺激とCSを対呈示して訓練すると、新たな刺激だけでもCRを誘発するようになる。このような条件づけは高次条件づけと呼ばれる。
USとの対呈示に使用されたCSは、1次性のCSと呼ばれ「CS1」と略されることもある。この1次性のCSと対呈示される別の新たな刺激は、2次性のCSと呼ばれる(CS2)。CS1とUSの対呈示による条件づけは1次条件づけと呼ばれ、1次条件づけをもとに形成される高次条件づけは2次条件づけ、2次条件づけをもとに形成される高次条件づけは3次条件づけと呼ばれる。
動物の日常生活における環境では、これらの高次条件づけが働いていることが少なくない。例えば、聞くだけで感情を生起させる言葉はたくさんあるが、日本語を知らない外国人が日本語を聞いても何の感情も沸き起こらない。つまり、言葉はUSではなくCSであるといえる。1次性のCSである言葉が同じ文脈上にある別の言葉と繰り返し対呈示されれば条件づけを形成し、2次性のCSとなり得る。言語獲得におけるプロセスはもっと複雑であると考えられるが、無意味つづりを2次性のCSとして実験に用いた研究もあり、条件づけは言語獲得の研究におけるアプローチ方法のひとつであるといえる。
感性予備条件づけ
CS2とCS1の対呈示を繰り返した後でCS1とUSの条件づけを行うと、CS1だけでなくCS2にもCRが見られるようになる。これは感性予備条件づけと呼ばれる。
参考書籍(PR)
- 『メイザーの学習と行動 日本語版第3版』 二瓶社(2008)
- 『学習の心理―行動のメカニズムを探る (コンパクト新心理学ライブラリ)』 サイエンス社(2000)
- 『グラフィック学習心理学―行動と認知 (Graphic text book)』 サイエンス社(2001)
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