期待効用理論
ジョン・フォン・ノイマンとオスカー・モルゲンシュテルンは、個々の選択肢の期待効用を計算し、期待効用が最大となる選択肢を選ぶ期待効用理論を用いて、合理的な意思決定を示した。期待効用理論は、ゲーム理論の基礎概念として提示された不確実性下での意思決定理論であり、決定木(デシジョンツリー)と呼ばれるグラフによって視覚化される。
行為Aの効用をU(A)と表すと、確立pにおける期待値はp×Aであり、期待効用はp×U(A)となる。
アレのパラドックス
期待効用理論に一致しない例として、アレのパラドックスが有名である。連続する2回のくじに関するもので、どちらのくじを選ぶかを実験参加者に答えてもらう実験である。
- 1回目
- A:確実に1000ドルもらえる。
- B:89%の確率で1000ドルもらえて、10%で2500ドル、1%で何ももらえない。
- 2回目
- A:11%の確率で1000ドルもらえて、89%で何ももらえない。
- B:10%の確率で2500ドルもらえて、90%で何ももらえない。
ほとんどの参加者は、1回目のくじでは期待値の低いAを選択し、2回目のくじでは期待値の高いBを選択する。これは期待効用理論と矛盾する結果であり、記述的理論からは外れている。
参考書籍
- 『認知心理学 (New Liberal Arts Selection)』 有斐閣(2010)
- 『認知心理学 (放送大学教材)』 放送大学教育振興会(2013)
- 『錯覚の科学 (文春文庫)』 文藝春秋(2014)
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