手続き的知識の構造

概念依存理論

アメリカのロジャー・シャンクは、コンピュータによる言語理解を目指し、文の意味的な分析を行って、11種類の基本動詞といくつかの概念によって表現する概念依存理論(CD理論とも呼ばれる)を提案した。しかし、概念依存理論は、階層性の概念が含まれておらず、比較的込み入った事柄を表そうとすると、ネットワークが非常に複雑になってしまうという問題点があった。

ただし、概念依存理論によって、人間の複雑な文章をより単純な形で理解できる可能性が示された。


スクリプト

スクリプトはスキーマの一種であり、手続き的知識の知識表現としてロジャー・シャンクらによって提唱された。スクリプトは特定の文脈における、連続した事象を記述した構造になっており、入力情報をこの全体構造に関連づけることによって、意味理解に必要な知識を提供する。

特定のスクリプトは、登場する人物や道具、複数の場面に関する知識などから構成されており、これらには最も典型的な値が設定される。

プロダクションシステム

人工知能研究やその関連領域では、知識表現としてプロダクションシステムが多く用いられている。プロダクションシステムは、知覚前提条件(IF)とアクション(THEN)の二つの部分から構成され、「もし得られた情報が条件を満たすならば、アクションを実行する」というプロダクションルールの集合に基づいて、系列的に制御される。

プロダクションシステムは、データベースであるワーキングメモリと、ルールの集合を記憶するプロダクション記憶、そしてルールの実行を制御するインタープリタから構成され、条件照合、競合の解消、実行というアルゴリズムを用いる。条件照合では、条件に適合するルールをすべて探索し、競合の解消では、条件照合で得られたルールを特定の基準に従って1つ選択し、実行の段階では選択されたルールが適用される。

プロダクションシステムは、個々のルールは単純であるが、組み合わせによって複雑な課題を遂行でき、ルールの追加や変更が容易にできる。しかし、人間は並列的な処理を行っていると考えられており、プロダクションシステムは系列処理に基づいているため、人間の認知モデルとしては限界があると考えられている。


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