一般均衡モデル
ここでは、すべての市場は完全競争市場であり、政府部門はないものとする。
価格
市場に種類の財が存在し、は有限な正の整数である。番目の財の価格をとすると、市場に存在する種類の財の価格は
と表せる。企業
市場に企業の数が存在し、は有限な正の整数である。番目の財の生産量(マイナスなら投入量)をとすると、企業の生産計画は
と表せる。企業の生産可能性集合をとすると、は集合の要素なので、と書ける。
企業の利潤は生産計画
利潤を最大化させるとは、のもとで、を最大化させることである。完全競争においては価格を一企業が変化させることはできないので、利潤を最大化させる生産計画は価格に依存するため、企業の最適生産計画は、となる。
消費者
人の消費者が存在し、は有限な正の整数である。消費者の番目の財の消費量をとすると、消費者の消費計画は
と表せる。消費者がもともと所有している財をとすると、消費者の初期保有量は
と表せる。企業の利潤は最終的には消費者にすべて分配されるので、企業の利潤のうち、消費者に分配される割合をとすると、と書ける。これはすべての企業で成り立ち、企業の最大化された利潤はなので、すべての企業からの分配はとなる。
消費者の所得あるいは支出は、初期保有の財からの収入と企業からの分配の和になるので、
となり、これが予算制約式となる。消費者は、この予算制約の下で効用を最大化させる消費計画を選ぶことが最適消費となる。この最適な消費計画は価格に依存するので、消費者の最適消費計画はと書ける。
超過需要関数
総消費計画、総生産計画、総初期保有を使って、第財の市場での需要と供給の均衡を表すと、
となる。均衡状態ではこの両辺の差はゼロになるが、需要と供給のバランスが崩れた場合も考え、
と書く。これは第財についての超過需要関数と呼ばれ、左辺がプラスであれば、第財について超過需要であり、マイナスであれば超過供給となる。つまり、すべての市場の超過需要をゼロにすることが、すべての市場を同時に均衡させる条件となる。超過需要は財の価格に依存するので、すべての市場を同時に均衡させる価格をとし、すべての財についての超過需要関数をとすると、すべての市場を同時に均衡させる条件は、
この超過需要をゼロにする条件を満たすようなに価格が決定されるということは、最適消費計画と最適生産計画という資源配分が決定されることになる。