厚生経済学の基本定理

厚生経済学の第1基本定理:完全競争での市場均衡はパレート効率的である

厚生経済学の第2基本定理:政府が適切な所得分配を行えば、パレート効率的な資源配分を達成できる


厚生経済学の第1基本定理

資源配分を(x,y)=(x1,,xI,y1,,yJ)と表し、このとき、すべての消費者i=1,,IについてxiXixiが集合Xiの要素である)が成り立ち(各消費者の消費計画が実行可能である)、すべての企業j=1,,JについてyjYjが成り立つ(各企業の生産計画が実行可能である)こととする。また、資源配分が実行可能であるとは、i=1Ixii=1Iwi+j=1Jyjが成り立つことである。

実行可能配分を(x,y)から(x_,y_)に移すとき、すべてのiについてx_iixiが成り立ち、かつ少なくとも1人についてx_iixiが成り立つ場合、配分(x_,y_)(x,y)をパレート改善するという。

ある実行可能配分(x,y)がパレート効率的であるとは、(x,y)をパレート改善する実行可能配分が存在しないことである。

完全競争市場均衡がパレート効率的である理由

消費量をわずかに増やすと効用が上がるような財が各消費者にひとつはあるという条件のもとで、もし価格p、実行可能配分(x,y)が完全競争での均衡状態であるにも関わらず、パレート改善する実行可能配分(x_,y_)が存在すると仮定した場合、すべての消費者iについてx_iixiとなる。この場合、x_iixiであればpx_i>ipxiでなければならず、x_iixiであればpx_iipxiでなければならない。

これらから、

i=1Ipx_i>i=1Ipxi
であることがわかる。

これに市場均衡条件を代入すると、

i=1Ipwi+j=1Jpy_j>i=1Ipwi+j=1Jpyj
となるが、これはyjpの下で利潤を最大にするという条件(pyjpy_j)と矛盾する。

pyjpy_jが成立するように、

i=1Ipx_i>i=1Ipxi=i=1Ipwi+j=1Jpyji=1Ipwi+j=1Jpy_j
とすると、
i=1Ipx_i>i=1Ipwi+j=1Jpy_j
となる。これをpでまとめると、
0>p(i=1Iwi+j=1Jy_j-i=1Ix_i)
となるが、これは資源配分が実行可能であるi=1Iwi+j=1Jyj-i=1Ixi0と矛盾する。

したがって、完全競争市場均衡はパレート効率的であるといえる。


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