最適消費

予算制約線と最適消費点」のページでも見たように、消費者にとって効用を最大化させる最適な消費は、予算制約線と無差別曲線が接する点(最適消費点)となる。そして、この最適消費点での限界代替率(MRS)は、予算制約線の傾きである価格比p1p2と一致するため、

MRS=p1p2
となる。

また、「限界効用」のページでは、限界代替率は限界効用の比に等しいことを見た。これを上の式と合わせて考えると、

MRS=u/x1u/x2=p1p2
となることがわかる。

限界効用の比と価格比を取り出して書き直すと、

u/x1p1=u/x2p2
となる。これは、財の消費を価格1単位分だけ変化させたときの限界効用を表している。左辺と右辺が同じになるということは、どちらの財の価格1単位分の消費を増やしても、効用は変わらないということである。これは限界効用均等の法則と呼ばれる。消費量をどう調整しても効用を改善することができないので、この状態が最適消費であるといえる。


所得の変化と最適消費

所得が増加すれば、消費者はよりたくさんの財を消費することができる。このとき、2つの財の価格が変わらないなら、予算制約線は右上に平行移動して傾きはそのままである。すると、予算制約線の移動に伴って、最適消費点も移動する。

予算制約線と最適消費点の移動

上図のように、所得の増加によって消費量が増える財を正常財、または上級財と呼ぶ。すべての財が正常財というわけではなく、下図の第2財x2のように、所得の増加によって予算制約線が右上に平行移動すると消費量が減少する財もある。このような財は劣等財、あるいは下級財と呼ばれる。

劣等財

劣等財の例として電車やバスの利用がある。所得が増えるとタクシーを利用したり、車を所有したりするため、電車やバスの利用が減るためである。

価格の変化と最適消費

所得は変わらず、2つの財のうち第1財の価格が上昇した場合が以下の図である。

価格の変化と最適消費点の移動

一方の財の価格が変化すると、予算制約線の傾きも変化する。この場合、第2財の価格は変化していないので、予算制約線と縦軸との交点の位置は変わらないが、第1財は価格の上昇によって消費量が減少するので、横軸との交点は左へ移動する。そして、予算制約線の傾きが変わることによって、最適消費点も移動する。

このときの最適消費点の移動を、横軸に第1財の消費量、縦軸に第1財の価格としてグラフにすると以下のような需要曲線ができあがる。

需要曲線

需要法則とギッフェン財

一般に、財の価格が上昇するとその財の需要が減少し、財の価格が低下するとその財の需要が増加することは需要法則と呼ばれる。

ほとんどの財においてこの需要法則が成り立つが、中には価格が上がると需要が上がる財も想定される。このような財はギッフェン財と呼ばれる。ギッフェン財は、劣等財であり、かつ所得効果が代替効果よりも大きい財という特殊なものである。そのため、実際にはほとんど観察されたことがないと言われている。

ギッフェン財

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