長期の利潤最大化

生産要素が労働と資本の2つで、完全競争の場合の利潤最大化を見ていく。

利潤は売上から費用を差し引いたもので、売上は生産物の価格pと生産量yの積となる。費用は、労働Lと賃金wの積と、資本Kと資本の価格rの積となる。生産関数はy=F(L,K)となり、利潤をπとすると、

π=pF(L,K)-wL-rK
と書ける。

生産物の価格p、賃金w、資本価格rは固定なので、労働Lと資本Kで利潤が最大になる組み合わせを見ていくことになる。


費用最小化

横軸を労働L、縦軸を資本Kとすると、生産量が最大になる組み合わせの等量曲線を描ける。この組み合わせの中で利潤が最も大きくなるのは、費用が最も小さくなる組み合わせである。

等量曲線

費用をTCとすると、TC=wL-rKとなり、これを変形すると、

K=-wrL+TCr
という直線の式が得られる。これは等費用線と呼ばれ、その傾きは生産要素の価格比w/rになる。そして、等量曲線と等費用線が接する点が費用最小点となる。

費用最小点

等量曲線との接点が費用最小点になるということは、技術的限界代替率と同じになるということである。また、「長期の生産関数」のページでも見たように、技術的限界代替率は限界生産性の比でもある。つまり、限界生産性の比と生産要素の価格比が同じとなる、

F/LF/K=wr
も成り立つ。

利潤最大化条件

ミクロ経済学では、生産関数を凹関数と考えることが多い。

生産関数は凹関数

生産関数が凹関数の場合、

π=pF(L,K)-wL-rK
は凹関数になる。これは、pF(L,K)が凹関数となり、-wL-rKが1次式となるからである。

縦軸に利潤、横軸に労働と資本の3軸のグラフを描くと、利潤のグラフは上に向かって凸の形になる。つまり、頂点が利潤最大点となるが、この点では接線の傾きがゼロになるということでもある。

利潤をそれぞれの生産要素で微分し、ゼロになる点が利潤最大点となるわけだから、

πL=0
πK=0
が、利潤最大化条件となる。ただし、生産関数が凹関数の場合は必要十分条件であるが、凹関数でない場合は必要条件ではあるが十分条件ではない。

また、π=pF(L,K)-wL-rKから、

πL=pFL-w=0
πK=pFK-r=0
となり、整理すると、
pFL=w
pKL=r
となる。左辺は限界生産物の価値であり、右辺は生産要素の価格である。生産要素を限界的に1単位増やしたときに、限界生産物の価値の増加とコストの増加が一致するところが、利潤最大点となる。

この上の式を下の式で割ると、

F/LF/K=wr
という式ができる。これは、限界生産性の比と生産要素の価格比であり、上で見た費用最小化の条件でもある。


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