独占的競争

現実の市場を見ると、完全競争や独占になっている市場というのはごく一部かあるいはほとんど存在しない。多くの場合は完全競争と独占の中間的な状態である。そのひとつが寡占であり、少数の企業が類似あるいは同質の製品で市場を支配している状態である。

そしてもうひとつが、独占的競争と呼ばれる状態である。類似しているが同質ではない製品、つまり差別化された製品を多くの企業が販売している状態で、それぞれの企業は自社の製品については独占であるが、同じ顧客をめぐって競争している。例えば、映画や旅行、コンピュータゲームなどはまったく異なる製品やサービスであるが、「娯楽」という枠組みで捉えれば、同じ顧客を奪い合っているようなものである。

完全競争か不完全競争かは、市場の区切り方によって変わってくる。ただし、どのように市場を区切ればよいのかについては明確な答えはないし、どのような場合に製品が差別化されていると言えるのかについても明確な基準はない。


短期における独占的競争企業

完全競争市場での個別の企業の製品に対する需要曲線は水平になる。これは個別の生産者が生産量を変えても価格は変わらないという定義があるからである。

一方で独占的競争市場における企業は、他の企業とは異なる製品を生産するため、右下がりの需要曲線になる。これは独占企業の場合と同じになるため、独占的競争企業も独占企業と同じ利潤最大化のルールに従うことになる。つまり、限界収入と限界費用が等しくなる量を生産し、その生産量と需要曲線から販売価格が決まることになる。

独占的競争企業の長期均衡

長期で見ると、独占的競争企業は独占企業と同じように高い利潤を維持できるわけではない。独占されている市場との大きな違いは、参入が容易なことである。

高い利潤は市場に参入するインセンティブを持ち、新しい企業の参入は既存企業の製品に対する需要を減少させる。逆に利潤がマイナスになれば、いくつかの企業はその市場から退出することになる。このような参入と退出によって、長期において利潤はゼロになる。

独占的競争と完全競争の違い

独占的競争企業の過剰生産力

独占的競争企業の生産量は、他の企業の参入と退出によって需要曲線と平均総費用曲線が接する点になる。上図のように、この生産量は平均総費用を最小化する生産量よりも少ない。平均総費用が最小になるところで生産する完全競争市場の企業とは対照的である。

この平均総費用が最小になるときの生産量は効率的規模と呼ばれる。長期的に見た場合、完全競争企業では効率的規模で生産されるが、独占的競争企業ではこれよりも少ない水準で生産するため、過剰生産力を持つと言われる。

上図を見てもわかるように、独占的競争企業が効率的規模になるように生産量を増やすと、平均総費用を減らすことはできるが、それ以上に価格を下げる必要があるため、過剰生産力を維持して生産するほうが利益になるのである。


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